水質を測ってみよう

綺麗な海や川、そして水槽の水・・・

 

見ためは同じ透明にみえますが、実際は様々な物質が溶け込んでおり、水質としては全く異なる水なのです。

いっけん綺麗に見えても、実際はギリギリの環境だったというのもよくある話です。

 

魚が死んでしまう、コケがひどい、サンゴが育たない・・・

 

水中の生物たちにとって水は命、本当に熱帯魚達が元気に住める水かどうか、それを確かめてみるのは如何でしょう?

 

ーPH(ペーハー)ー

 

もっともポピュラーかつ、もっとも重要な水質を示す指標です。PH7.0を中性とし、それより数値が低ければ酸性、数値が高ければアルカリ性の水質と呼びます。川や湖に住む熱帯魚はPH4.0~7.5、海に住む海水魚はPH8~8.5程度の数値内の水に生息しています。少し詳しく説明すると、PHとは水中の水素イオン濃度の事で、数値が1違うと濃度は1000倍も違ってきます。PHが違う水槽に熱帯魚を急に放すとショックを起こすのはこのためです。他の様々な水質と関連して最も重要な数値ですので、しっかり測って把握しましょう。底砂やろ材の一部はPH値に影響を与えるものも多く、設置の際は注意が必要です。

※現在はデジタル式のPHメーターが安く販売されており数値が読みやすいため非常にお勧めです。

ーアンモニア(NH4)ー

 

水質と言うよりは、水がどれだけ汚れているかの指標です。魚の排泄物や水草の枯葉などから発生し、生物にとって非常に毒性が強く、特にPH値が高い水槽では注意が必要です。人間は体内のアンモニアを尿で排泄しますが、魚は鰓から浸透圧で排出するため濃度が高いとアンモニアを体外に排泄できずに中毒となります。成長不良や感染症を引き起こすだけでなく、直接的に死に至らしめる事もあります。淡水0.25mg、海水0.05mg/Lを上限の数値として管理できるよう、ろ過がしっかり行われてアンモニアの数値が検出されない環境を作りましょう。水槽設置時に測定する事で、熱帯魚を導入できるタイミングを知る事が出来ます。

ー亜硝酸(NO2)ー

 

こちらもアンモニアと同じで、水がどれだけ汚れているかの指標数値です。アンモニアがバクテリアによって分解されると(ろ過)次に出来る生成物として、水の中に現れます。こちらも生物にとっての毒性が強く、濃度が高いと中毒を引き起こし観賞魚を飼育する事が困難になります。淡水0.5mg、海水0.25mg/Lを上限の数値として管理できるようにしましょう。ろ過効いて、バクテリアがしっかりと働いている正常な水槽では検出されない事が殆どで、健康に観賞魚が飼育できるための指標になります。

ー硝酸塩(NO3)ー

 

ろ過がしっかり効いた水槽において、フンや食べ残した餌から生成される最後の物質で、いわゆる目に見えない水の汚れです。アンモニアや亜硝酸と違って魚にとって害は少ないですが、数値が高すぎるとエラの病気になりやすく、またコケの発生源にもなるため定期的な水換えによって水槽内から除去する必要があります。(水換えは硝酸塩を除去するために行うのです)少量であれば水草が肥料として吸収してくれますが、サンゴなどは耐性が低く育ちにくくなるので、硝酸塩濃度は飼育している生体によって一定以上高くならないように、水換えや餌あげの量でしっかり調整してあげましょう。

ーリン酸塩(PO4)ー

 

水槽内で、餌あげや枯葉などからの分解で発生する水の汚れを示す指標です。生物にとって成長するための必須成分のひとつですが、水槽内では過剰に蓄積されやすくなるので検出されない位が理想です。リン酸塩が蓄積すると、ラン藻(シアノバクテリア)や赤ゴケの発生原因のひとつとなり、サンゴ水槽内ではサンゴの骨格形成を阻害する要因になってしまいます。天然海水中のリン酸塩濃度は、0.01以下~0.03mg/Lですので水換えや吸着剤を利用して数値が減るよう調整しましょう。

ー総高度(GH)ー

 

炭酸塩高度(KH)と並んで、水中に溶けているカルシウムやマグネシウムなどの成分を表す指標数値です。数値が高く成分が多く含まれていると硬水、数値が低いと軟水と区別されます。一般的に淡水に住む熱帯魚は硬度が低い水を好む場合が多く、海水やPHの高い地域に住む熱帯魚は硬水を好みます。(ただし熱帯魚の多くは軟水で養殖されており、必ずしも生息地の水質に合わせる事は不要な場合も多いです)一般的な熱帯魚の飼育では強く意識する必要はありませんが、軟水で低PHを好むワイルドディスカスやアピスト、硬水で高いアルカリ度を好む海水魚やサンゴの飼育ではしっかり測定し、調整した水を用意してあげましょう。

ーカルシウム濃度(Ca)ー

 

水中のカルシウム濃度を示す数値です。一般的な熱帯魚の飼育ではあまり必要ではありませんが、水中のカルシウムを吸収して骨格を形成しながら育つサンゴの飼育では重要な数値です。また、熱帯魚の飼育においても、カルシウム濃度はPH値の上下に影響を与えやすく知っておくと役立つ場合も多いです。サンゴ砂や大磯砂や岩のレイアウト素材に多く含まれますので、それらを使用した水槽では数値が高くなりやすい傾向にあります。